肩を叩かれた。
叩かれた、というよりは押さえられた。
そっと壊れ物を扱うような手つき。
優しいそれは両肩に。
「フェルト、考えすぎるな」
「スメラギさんは元から体調が悪かったわけじゃない。一時的なものだって今自分で言っただろ」
後ろを見上げるように振り替えれば、家族のように親しんだ男たちの姿。
その眼差しは優しくて、温かい。
いつからだろう。
それが当たり前になったのは。
「…ありがとう…」
もしかしたら何か予兆があって、それに自分が気付けなかっただけじゃないのか、と考えたりもした。
どうして気づけなかったんだろうと、思ったりもした。
それを、外に出したつもりなんてなかったのに。
どうして分かったのだろう、そう考えれば、そりゃ分かるだろうみたいな顔で2人が笑うから、こんな時にひどく不謹慎だけど、すごく嬉しくなった。