『いつか頂きます』










「なーんか、思いださねぇ?」
「何が」
「ほれ」

 節々の目立つ太い指が示した先、ひどく無防備に眠る一人の少女。結んだ髪もそのままに、心地よさそうに熟睡している。
 その少女をムゲンは指差して、

「りんごだろ、まんじゅーだろ、さくらんぼだろ、大根だろ……」

 ほっぺ、輪郭、唇、足、と視線と指をさまよわせる。
 無言で聞いていたジンは、何やら納得したように頷いたが静かに忠告した。

「…食うなよ」
「食わねーよ」

 あまり信用ならない台詞をジンはどう解釈したのか、何も言わずに刀の手入れへと戻った。
 それを見ることはせず、ムゲンは笑う。

「餅っつーのもありだな」

 熟睡する少女の頬をぐいーーーーーっと引っ張って、はなす。弾力のある白い頬は柔らかく、きめの細かい肌質はさわり心地がいい。

「…食うなよ」
「食わねーって」

 そう、今はまだ。

 ムゲンが笑ったことを気配で感じたのか、ジンが小さなため息をついた。
2007年10月6日

いろいろ付け加えたい気もしたけど、シンプルにこのままで…。
久々にこの3人組を…にっ、偽者くさい…!
すっすみません…。