ガーサハ



「トリックオアトリート！」

「おー、来たな」

　ノックの音で扉を開けたガードルードは、黒いワンピースととんがり帽子を身につけたサハラを見て破願した。

　今日は子供達がお化けに仮装して街を歩く日、ハロウィン。
　人間に化けることなく堂々と外を歩けるうえにお菓子までもらえると、プッペンはこの日をとても楽しみにしていた。
　その勢いに巻き込まれて、全員で参加することになったのだ。
　サハラの仮装は、黒ずくめの魔女。
　ちなみにプッペンとマリオットはそのまんま。ガードルードは吸血鬼。
　スーツを着てマントをひっかけただけなのに、ちゃんと吸血鬼に見える彼を見て、サハラはにやりと笑った。

「よく似合ってる」
「そっちこそ」

　早く、早くと急かす悪魔たちを面倒くさそうにいなしながら、ガードルードはサハラの耳元で囁いた。

「後で血をいただくから覚悟しとけ」
「やれるもんならやってみな」

　挑戦的な笑みを浮かべたサハラに同じ種類の笑顔を返しながら、ガードルードはサハラを屋敷へと招きいれた。