*道に迷った弥奈サマと保護した現八さんとか*




「…弥奈サマ?」
「っっ。げ、現八さん! あの、すいません! ど、どうしたら学校に帰れますか???」
「なんだ、迷ったのか? 信乃の幼馴染とやらはどうした。一緒じゃなかったのか?」
「浜路とは途中で別れたんです。何度も一緒に来た道だったので大丈夫だと思ったのですが…」
「それで迷ったら世話ないな」
「はい。それで、迷っていたら、もう門限の時間が近いんです。あの、道を」
「馬には乗れるか?」
「え?」
「手を出せ。送ってやろう」
「あ、で、でも私、馬に乗ったことなんて…」
「急ぐんだろう?」

 弥奈は、馬上のはるか高みから差し伸べられた手をまじまじと見つめる。
 高いところにある男の顔は逆光で良く見えない。見えないが、その唇は面白そうに吊り上っているように感じた。
 目の前の手は、弥奈のためだけに差し出されたものだ。
 それが理解できた瞬間、弥奈は嬉しくなって満面の笑顔になった。

「はい! お願いします、現八さん!」

 2015/04/01