...セルジュ→ツクヨミ



 彼女はいつも月を見ていた。
 理由は、知らない。
 けれどそれはずっと気になっていて…。

 メイクに隠されて見えるはずもない表情が、とても悲しそうに見えた。
 まるで荒野に一人立ち尽くしているような、寂しい空気を纏っていた。

 それに気がついてしまったその瞬間から、きっとセルジュという存在は彼女に囚われていたのだろう。


...モドル?




 



...セルツク



ツクヨミ?」
「何だ、ヤマネコ様。どうしたんだい? 早く寝ないと寝坊しちゃうよ」
「ツクヨミは、」
「あたいは平気さ。寝坊なんてしないよ」
「…でも、雨が降っているから、寒いし、風邪引くよ」
「くすっ。優しいね、ヤマネコ様は」
「そんなこと」
「でも大丈夫だよ。ありがとう。お休みヤマネコ様!」
(あたいは風邪なんてひけないから)

 このときはまだ彼女が寂しく笑う理由を知らなかった


...モドル?