『背中合わせ』
「あんたが死んだ時も信じられなかったけど…生き返ったのはもっと信じられないわ…」
その言葉に彼は肩をすくめた。
「ルッカが呼んでくれたんじゃないか」
お互いに反対側を向いて、背中合わせで座っている。
幼い頃から、2人でいるときはこの体制が一番多かった。
触れ合っているためか、見えなくてもなんとなく相手の動作が分かる。
クロノの言葉にこちらも肩をすくめて答える。
「呼んだのはマールよ。私は手伝っただけ」
少し前のめりになって地面を見つめる。
「僕が目が覚めた時、目の前にいたのはルッカだったと思うけど?」
少し離れた背中を求めて、軽く体重をかけながら寄りかかる。
「…マールがいたのを勘違いしたのよ。私は見てただけよ」
すっ―――と、背中が遠のいて距離をとった。
それでもクロノがその背中を求めてそのまま倒れると、頭がルッカの背中ではなく何か柔らかいものにのった。
現状を理解するより早く、クロノの目が優しく覆われる。
小さなその手が過たずに自分の目を塞いだのを感じて、なんとなく柔らかいものの正体に気付いた。
幼い頃からクロノが疲れて、ルッカの背中に寄りかかっていた時、姉のように振舞っていたルッカはよく膝枕をしてくれていた。
いつもそのままクロノが寝てしまうように、ルッカは視界を遮断してしまうのだ。
もっとも本当に小さな頃の話で、こうされるのは何年だろうか。
「…意地っ張り」
「…うるさい」
倒れてきたクロノに膝枕をしたルッカは、目隠しをしたままのその額に、こつんと己のそれを合わせる。
「バカクロノ…」
「うん…」
髪の上から感じる熱いしずくがなんとなく…うれしかった。
背中合わせの関係。
それがもっと近づいた…ような気がした。
激短い。結構気に入ってたりuu
背中合わせの関係って好きです。
いろんな意味で信頼していて、自分の命を任せあえる存在。ってかんじで。
しかしクロルカ大好きですvv