『悪魔と神と天罰と』







「俺のは?」

 ひょい、と後ろからルウの手元を覗き込んだ、少年悪魔は、いつものように不機嫌そうに問いかけてきた。
 ケーキを前にうきうきと口を動かしていたルウは、横から生えた紅い色に驚いて動きを止める。

「っっえ…っとバルレ…ル…?」
「俺の、ねぇのかよ?」
「ええ…っと…ルウは知らない…。アメルが知っていると思うよ?」

 あれだけ悪魔悪魔と言っていたルウなので、本物の悪魔にちょっとばかり身を引く。
 幾らトリスの護衛獣でも、悪魔は悪魔だ。
 狡猾で、卑怯で、残虐な悪魔だ。
 その感情の動きを悪魔である彼は勿論わかっているのだろう。
 ルウの動揺と恐怖を楽しんでいる。
 ケケッ、と笑って、ルウのケーキに手を伸ばした。

「あっ!」

 …と言う間にケーキはバルレルの口の中に消えた。
 残ったのはフォークに突き刺さった一欠片だけ。

「る、ルウのケーキ!!!ひどい!」
「ああ?あるじゃねーか、ほら」

 と、指差されたのはフォークに刺さる欠片。
 全く悪びれた空気のないバルレルに唖然として、ルウはそれを見た。
 見た、と同時に、それもバルレルの口の中に消えた。

「あーーーーーーー!!!!!!!」
「ケッケッケ」

 子供のように…確かに外見は子供なのだが、笑い続ける悪魔に、ルウは恨みがましい目を向ける。

「ば、ば、バルレルの馬鹿ーーーーーー!!」

 食べ物の恨みは怖いのだ。
 ぎっ!とルウが睨み続けると、ふわりと羽を使って空中で1回転。
 絶えぬ笑い声が聞こえてくる。
 顔を真っ赤にして、フォークを持ったまま睨みつける。

「バカ!バカバカバカ!トリスに言いつけるんだから!」
「あいつは今日は外に出てていねーよ」

 ケケ、と笑って、逆さの状態でルウの顔の目の前に現れる。
 なるほど確信犯か。
 と、いうより、トリスというからかって面白い存在がいなくなったので、その代わりにルウで遊んでいるのだろう。
 アメルも一緒に行ってしまったので、この小生意気な悪魔をたしなめる人間はここにはいない。
 と、いうかほとんどの人間が今ここでは出払っているのだ。
 くるん、と逆さまから元に戻ったバルレルをひたすら睨む。いまだ笑いの収まらぬ悪魔に小さくうなった。
 どんどん苛々してきて半分涙目になって、ルウは目の前の悪魔の両頬をつまんだ。

「バカーーーー!!!!!」

 急に頬をつままれ、さすがのバルレルも驚いた。

「いってぇっ!!!!やめろっ!このバカ!」
「バカはそっちよ!ルウ許さないんだから!」
「うっせーーーー!てめぇいつも食ってんだから1個くらいいーだろーが!」
「いやなのーーー!なんで人のもの勝手に食べてそんなに偉そうなのよーーー!」
「うるせー色黒人間!悪魔が人のもんとるのは当たり前だっつーの!」
「い、い、色黒人間とはなによ!!このチビ悪魔!悪魔でもダメなもんはダメなの!」

 いつの間にか互いの頬をつまみあって、暴れまくっていた2人は、屋敷の玄関が開いて、たくさんの足音がリビングに近づいていることに全く気付いていなかった。

「ただいまー…!?」

 この場にそぐわない、非常に呑気な声に、2人は我にかえった。
 しん、と沈黙が落ちる。
 トリスの目に映ったのは、物凄い涙目でバルレルに組み敷かれているルウの姿。
 どうやら単純な筋力面ではバルレルに優勢のようだ。

「トリス!聞いて!バルレルがルウのケーキ食べたの!」
「ゲッ!てめっ!」

 はじめに硬直から回復したのはルウだった。次にバルレルが我に返り、ルウの口を塞ぐ。

「むーーーー!!!!」
「うっせー!」

 まだまだ硬直状態のトリスは、呆然と目の前のやり取りを見つめた。

 何だろう。

 この状況はいったいどうすればいいのだろう。
 どうみてもバルレルがルウを襲っているようにしか見えないのだが、なんだかそういうやり取りでもないようだし。
 ぐるぐると頭が混乱する中、硬直状態のトリスの後ろから、ひょい、とアメルが顔を出した。

「トリスさん…?どうなされたのですか?」

 笑顔で顔を出したアメルは、トリスと同じように硬直した。
 笑顔で。

 笑顔で。

「ポワソ行きなさい」

 いきなり召喚されたポワソの大群が、バルレルを拉致した。

「てっめっ!なんだこりゃあ!」
「バルレルさん。家の主がいない場所で婦女暴行とは感心しませんね」
「…はっ!?」
「言い訳は聞きません。天罰です」

 天罰で、レヴァティーンが召喚された。(いつ覚えたんですか?)





「でね。バルレルがルウのケーキ全部食べちゃったの」
「へー。そうだったんだ」
「ルウさん。私のケーキ食べてもいいですよ」
「えっ!?いいの!?」

 なんて、穏やかな会話の端、バルレルの屍のごとき塊が転がっており

「触らぬ神に祟りなし」

 フォルテ、及びメンバーの面々が拝んでいたという。
 2005年10月2日
…回復してやれよ。
すいません。変なの書いて。
管理人、バルレル大好きです。
いやほんと。
護衛獣に彼が居ないと始まんないですよね。
でもこの扱いuu
バルルウを書こうとして、いつの間にかギャグにもなりきらないどうでもいい話になってましたuu
ルウが仲間になって間もない頃、なんで、確実にアメルはレヴァティーンなんて使えない、筈(笑)
ああもう本当に久しぶりすぎてキャラわからないよーーーuu