居心地のいい場所



茹だるような暑い日々。
チェシャ猫は居心地のいい場所を求めて転がっていた。

コロコロ……コロコロ……

階段の1番下。
手摺りの上。
風が吹く窓際。
クーラーの真下。
扇風機の前。

イロイロな所で仰向けになって口をあけ、ぐったりと横たわる(?)チェシャ猫の姿を見ることができた。

「……だらし無い」
そんな状態でも、あのニヤニヤ笑いが健在なのはさすがと言うべきだろうか?
足元に転がっているチェシャ猫を足で突きながら、亜莉子はそう思うのであった。



そして今、そのだらし無い猫は亜莉子の膝の上でゴロゴロしている。
冷たい床の上にいたほうが涼しいはずなのに、チェシャ猫は幸せそうにゴロゴロしている。
亜莉子も、膝の上のチェシャ猫が暑いと思いつつ、何も言わなかった。

たとえ多少暑かろうが、亜莉子の側がチェシャ猫にとって1番居心地のいいところなのであった。