スイカ 2



「ただいまー」
 亜莉子が家に帰ると、チェシャ猫が玄関から一段上がったところにある玄関マットの上で出迎えてくれた。

「おかえり、アリス」

 人間の生首にしか見えないその『猫』は、いつもどおりのにんまり笑顔でコロ…と横に転がった。亜莉子は、さっき八百屋さんで帰りがけに買ったスイカを彼に見せる。

「ただいま。見て見て!チェシャ猫。もうスイカがお店に出ていたのよ!」
「うん、早いね。アリス、スイカは好き?」
「うーん、そこそこかな。でも、つい買っちゃった」

 話しながら亜莉子は自分の部屋に入り、チェシャ猫の寝床にしている毛布の上に持っていたスイカを置いた。チェシャ猫がコロコロと転がりながら追いかけてきて、スイカの横で止まる。

「アリス、おばあちゃんに切ってもらわないの?」
「もう少し、飾っておくわ。だって、そっくりなんだもん」

 横に並んだスイカとチェシャ猫を見比べて、亜莉子は満足げに笑った。