今日のお客様 : 有沢たつき様&井上織姫様&朽木ルキア様






「いらっしゃいませ〜」

 にこやかに挨拶して開いた扉を伺います。
 お客様は3人の女子高生。にぎやかなお客様なのです。
 新顔さんではありません。
 結構お得意さんなのです。

 その名も父さん&空手さん&お嬢様さんシスターズです。
 あ、今「何言ってんだこの馬鹿」とか思われましたね?
 いえいえ。
 これはれっきとした名称なんですよ。

 由来を説明しましょう。
 まず、父さんは栗色の長い髪がきれいで可愛らし〜い女の子なのです。
 結構な美人さんなのですが、男なら、いや女でも、万人全ての方々が等しく最初に目をやるのは父さんの胸に違いありません。
 もう初めて見たときは思わず奇声を上げかけた私なのです。
 女の子なら誰もが気にしている胸。
 男の子だってついつい気にしちゃう胸。
 その胸、が。

 ―――超、爆・乳☆

 なのですよ!!

 あ、ほらほら、雑誌コーナーでエロ本見ていた男の方が、父さんの胸に釘付けになってます。
 その頭の中でどんな妄想が繰り広げられているのか、なんて知りたくもありません。
 ええもう彼の持っているエロ本の女性より確実にでかいですもん!
 
 あわわ。話がそれました。

 私もさすがに自分の中だけでも可愛らしい女子高生の女の子を爆乳さん、と呼ぶのはちょっと嫌な感じなのです。お、親父臭いじゃありませんか! なんとなくっ。

 と、まぁそういうわけで。

 爆乳→乳→父→父さん。

 という思考回路を辿りまして。
 …って。

 あっ、空手さんがエロ本男さんを睨みつけてます!!
 空手さん、父さんのことにはすっごく敏感みたいで、なんだか嫌〜な目で見ている方々をいつも撃退しているんですよね。
 その様はまさしく姫を守るナイト! 素敵です!
 あ、空手さんはもうそのままですね。
 空手をしているんですよ〜。
 この近くに空手の道場があるんですけど、そこに通っているみたいです。
 たまに空手着持ってジュース買いに来るんです。

 …でも、空手さんも実は美人さんなのですっ!
 強くて美人でかっこいいのです!

 そして最後にお嬢様さん。
 にっこりとエロ本男さんと空手さんを見比べて、首を傾げつつにっこりと笑いました。
 うん。多分、よく意味分かってませんね!
 お嬢様さんは、なんだか浮世離れした感じがあるのです。

 だってほら、今も。

「あちらの方が読んでいらっしゃるご本は、どういったものなのでしょうか?」

 なんてそれは聞いちゃいけませんよ! 的なことを空手さんに聞いています。
 そうそう。このお嬢様〜って感じの言葉遣いが名前の由来なんですよねぇ〜。
 空手さん、困ってます! 明らかに困ってます!
 しかもしかも更に!!

「あっ、ああいうのってたまに男子が持ってるよねー、たつきちゃん!」
「こ、こら織姫っ! あんた意味分かってないでしょ!」
「男の方が読まれる本なのですか?」
「えっ、あ、うーん…ま、まぁそうだから、私達には関係ないって!」

 空手さん必死です。
 父さん天然です。
 お嬢様さんはやっぱりお嬢様ですっ。

 ……しかし、父さんとお嬢様さん。どんな天然純粋培養されてきたのでしょうか。彼女らの人生が気になります。
 ………いっ、いえ、別にストーカーとかしませんから!
 犯罪の匂いなんてしませんからねっ!!

 ………私はいったい誰に言い訳しているのでしょうか。ちょっと落ち込みます。自己嫌悪です。


 とにもかくにも、父さん&空手さん&お嬢様さんシスターズはおのおのの目的の場所に向かうのです。

 …ってお嬢様さんっ、え、え、え、エロ本コーナーに近づいてはなりませんよっ!!
 そこは危険地帯ですっ!!
 行ってはなりませんっ!!
 ぎゃーーーーっ!! 手に取ったらもっとダメですっ!!
 ほらっほらっ、エロ本男さんが唖然としているじゃないですか!

 そりゃあ、お嬢様さんみたいな清楚な感じのする美人さんが、エロ本を持っていたら誰だってびびりますよね。

 あああもう空手さん空手さん空手さんっ! 早く気付いてくださいっ!!

 もう視線を送りますっ。猛烈に熱い熱死線。
 …あれちょっと漢字違いすぎますね。
 てっ、てんぱってるのです! 許してください!

 っとと、あああ空手さんがすっごく不思議そうな顔で振り返ってくれました。
 ええもう私は泣きそうな勢いでお嬢様さんの方を見ます。
 つられて空手さんもお嬢様さんを見ます。

「だっっ!!!! ちょ、ルキアさん!?」

 あ、ルキアさんとおっしゃるんですね。
 初耳です。
 びっくりしたルキアさんことお嬢様さん、思いっきりエロ本を落としました。
 ひょいとそれを拾い上げたのは父さん!
 い、いつの間に…。

「織姫! そんなの見るんじゃないのっ! ルキアさんも!!」

 真っ赤な顔で怒鳴った空手さんは、父さんの手から思いっきりエロ本を取り上げ、コーナーの元へと戻しました。
 付け加えるなら、エロ本男さんが滅茶苦茶びっくりいたしまして、投げる勢いでエロ本をコーナーへ戻して出て行きました。
 うーん。見事なまでに真っ青です。

「読んではいけないものだったのですか?」
「いけないっ! 18歳未満の、しかも女なら絶対駄目!」

 はっ、そういえば18禁コーナーのブツを手にしていたのですから、注意しても良かったのですね、私。いえ、彼女たちが高2か高3かで事情は違ってきますが…。
 きょとんとしている父さんとお嬢様さんの腕を引っ張って、空手さんは入り口に向かいました。入り口=出口です。
 要するに今日はお帰りなのですね。
 ご苦労様です。


 …。
 ……。
 …ふふ。
 …ふふふ。
 空手さん。
 空手さんの去り際…「ありがと」って言葉と、苦笑に近い微笑が素敵過ぎました。

 是非また3人でおいでくださいませ(喜色満面恍惚笑顔←怖っ)