本日のお客様:クロノ、ルッカ 様
一瞬、というか、結構、目を疑いました。
え、っと…。
あの。
なんていうか、えええええ!?!?!?!?
「ちょっとクロノ、何買ってるのよ」
「えー美味しいじゃんコレ」
「信じられない…そんなの食べ物じゃないわよ」
「ルッカも食べてみれば絶対考え変わるって!」
「………止めとくわ」
ルッカっ!
ルッカって言いましたよね!?
ということはやっぱりそうなのです。
思ったとおりなのですっ。
本当に凄いことなのですっ。
ルッカ=アシュティア博士。アメリカで飛び級しまくって大学を十代には卒業、その後はロボット工学の第一人者として最先端の研究をしている天才科学者として新聞やテレビにガンガン載ったことがある人なんですっっ。
私みたいなそういったことにぜんっぜん興味のない人間でも知っているような、超有名人なんですよねー。
…っていうか、何でそんな凄い方がこんな片田舎のコンビニにいらっしゃっているのでしょうか!!?!?
「ルッカ、これもこれも」
ひょいと、かごの中にお菓子を放り込む、逆立ちまくった赤毛の男の人。
赤毛さんは天才科学者さんの冷たい視線を、全く気にせずにばんばんお菓子を入れていきます。
このコンビニの最早特徴でもある危険味が沢山入ってますねぇ。
というかどんだけ食べるつもりなんでしょう。
「私は食べないわよ」
「いいよ。俺が食べるし」
くくっと赤毛さんは笑って、天才科学者さんの言葉を流します。
うーん。
なんといいますか、凄くやりとりが自然な方々です。
なんだか、テレビや新聞で見る天才科学者さんとはだいぶ印象が違います。
それよりももっと柔らかくて、すごく気安い感じです。
きっと凄く凄くお互いを信頼しちゃってるんだと思うのですっ。
なんだかそういう感じっていいですよね…。
ううう。私には程遠い話なのです…っっ。
まず好きな人を見つける…いえいえ、出会いからですね(泣)
「合計5864円でございますー」
おっと天才科学者さん、そのゴールドカードはここでは使えませんよ。
なんてつっこむ前に赤毛さんが現金払ってくださいました〜。感謝です。
しかしまぁ買い込みましたねー。
ジュースも2リットルペットボトルで買ってるのでの結構重いとは思うんですけど、軽々と赤毛さんが抱えちゃいました。
すごいです。
体力には自信アリ、なんですねー。
「ちょっとクロノ」
「今日は払うって」
「貧乏学生の癖に」
「俺が今日の為にどんだけバイトしたと思ってんだよ」
「……見得はってんじゃないわよ」
小突きあいながらの小声の会話、はい。
えーお分かりのとおり、丸聞こえですねー。
しかしまぁ、赤毛さん男ですねー。
ちっちゃい意地かもですけど、かっこいいです。
天才科学者さんもなんだか嬉しそうです。
頬も赤くなっちゃってますね。視線は全然合わせようとしないあたりがまたなんといいますか、今はやり(?)のツンデレの気を感じますねー。
いやまぁ、癒されますね本当。
というわけで仲のいい赤毛さんと天才科学者さんは去っていくのでしたー。
今日の癒しをありがとうございました。
「ありがとうございましたー」
………あ、サイン貰っとくべきでしたっっ!!!!!!