『二人の形』
ふぅ、と息をついて、テマリは本を閉じる。
自分でも分かるくらいに、頬が熱い。
深い深い息をついて、ちらりと上を見る。
目の前には何故か男の近い顔。
―――いや、近いなんてもんじゃない。
互いに互いの呼吸が届く、その位置。
…先程までは違った筈なのだが…。
「うす」
「………うす」
ばっちり目があって、テマリは己の心拍数を必死に静めながら答えた。
何故こんな事態に陥っているというのか。
男の顔には全く動揺が見られない。ただただ面倒くさそうなしかめつら。
「何か用か…?奈良シカマル」
「ん…?ああ。めんどくせーけどよ」
「な、なんだ」
「………」
何故か沈黙。
沈黙よりも突き刺さる視線が痛い。
言葉よりも先に、ひょいと男の顔が離れる。
自分で思うよりもはるかに緊張していた身体の硬直がほぐれた。
無意識に安堵の息を吐く。
「本気にさせた、お前が悪いんだからな」
小さな、小さな、シカマルの独白はテマリに届くことなく、部屋の中に散った。
一方通行なこの状態が今の二人の形なら。
それを変えてしまえばいいだけ。
奈良シカマルの望む、二人の形に。
2006年11月12日
超、短いっ。
シカマル→テマリな状況。
ちょっとこじつけ臭いですね…お題がuu