『体温』 視線は合わさない。 口も開かない。 互いに纏う空気すらも冷たく。 ―――ただ繋いだ手の平だけが焼けるように熱く。 互いの体温を忘れる事なく運び続ける。 溶けて交じりて1つになる2人だけの体温。 それだけでも幸せ。 けれど時には贅沢に。 「テマリ」 「何だ」 「お前の手、案外温かいのな」 「………知るか」 「温かい」 その温かさ、全部俺にちょーだい? ひょい、と引き寄せて、己の腕の中に閉じ込める。 「しっ、シカマル!!何をする!」 「んー」 わめき暴れる女の首筋に顔をうずめて、彼女の、ふわり、と漂う花の香りを楽しんだ。 シカマルの呼吸がくすぐったいのか、それとも恥ずかしいのかテマリが身をよじらせる。 「この、馬鹿っっ!」 その罵声にも照れが滲み出している。 そんな素直でないところが可愛いとか思ってしまうわけで。 ―――貴女の体温を俺にください。 小さく耳元で囁いた言葉は、どうやらしっかりと彼女に届いたようで。 真っ赤になった瑞々しい果実のような少女を柔らかに抱きしめた。 「馬鹿」 赤い顔で、少女はふっ、と息をついて、諦めたかのように少年の背に手を回した。 溶けて交じりて1つになる2人だけの体温。 |
おまけ あんまりにも上の絵の二人が甘くなかったんで(笑) |