『そうして彼らは笑う』







 なんで、
 何故、
 どうして…

 続く常套句。

 俺が
 こんなことに
 こんな奴らに

 過信と慢心に満ちた素敵な常套句。

 だから、だから。

 知らなかったの? と声は笑う。
 知らなかったんだ? と声は笑う。

 上を知らなかった者たちに答える。
 下を見ることしかしなかった者たちに答える。

 重なり合う。2つの声。
 輪唱だろうか。唱和だろうか。
 歌うように、謳うように。
 重なり合う声と声。

 連なる笑い声。

 真っ黒尽くしの男。
 木の葉暗部と分かる忍装束を着た、男。

 声は2つ。
 全く同じ声。
 全く同じ笑い声。

 姿すら鏡写しのように瓜二つの、男の姿。

「「そういうのって、井の中の蛙って、言うんだよ」」

 くつくつくつくつ。
 悪意のない、どこまでも無邪気な笑い声。
 どこまでもどこまでも楽しそうな、無邪気で、それでいてたちの悪い、笑い声。

 響き渡る。
 響き渡る。

 荒廃した大地へ。
 何もかもが歪んだ大地へ。
 ひび割れた大地に吸収される2つの声。



 声になんとなく、ちくちくと胃を痛めるのが、2人。
 声になんとなく、ほのぼのを笑ってしまうのが、2人。
 声になんとなく、笑いが止まらなくなるのが、2人。
 ついでに傍観者が2人。


 胃をしくしくちくちく痛めるある意味とっても正常な感覚もちの2人の会話。

「いーやーもーうあの声いやーっっ。もう誰か止めてーっっ。ほんとに誰か助けてーっっ」
「私だって助けて欲しいわよ、でも誰があいつらに勝てるってわけ!?!?!」
「いっ、イルカ先生とかー、テマリさんとかーっっ」
「あいつら育てた人間と、あそこで馬鹿笑いしてる人間が止められるわけないでしょ!!!?」
「ううう…じゃあ誰がいるって言うのよーっっ」
「それが分かったら苦労しないわよっっ!!!!」


 ほのぼの〜と笑い続けるある意味我関せずを突き通す2人の会話。

「なんか、あれだよな。最初テマリからあいつらに引き渡された時にはどうなることかと思ったが…」
「ああ、中々あれはあれで面白い」
「だよな。まぁ、テマリも楽しそうだし」
「あれもまぁ、一種の芸術だな」
「"永く後々まで残ってゆく永久の美"ってヤツとは大分異なるんじゃないのか?」
「それはそれ、これはこれだ。まぁ、デイダラ好みの芸術ではあるが、それだけじゃないさ」
「あんた結構柔らかくなったよな。で、どういう意味だよ」
「相当幼くなったお前には言われたくないな。まぁ見てみろよ。漆黒2人組みの暴れた所為であの一帯は見事な焼け野原、荒廃の大地だ。延々と続く森の中での唐突の荒地、クレーター。あの様子じゃしばらく植物など生えないだろう。永く後々まで残っていく永久の美に近しいものがあるわけで、そもそも大地とは……………(以下略)」


 笑っても笑っても笑いの止まらないある意味危なすぎる2人の会話。

「あっはっはっはっは。やー相変わらずあいつら豪快でさっぱりしてて気持ちが良いなー」
「けっけっけ。ほんとじゃん! マジうけるじゃん! 後ピンクとキンキンの死に掛けっぷりが半端ないじゃん! さいこーじゃん!!!」
「あはははは。ははっ。あはははははは!!!!」
「けっけっけ。ははっ。くけけけけけけ!!!!」


 どこまでいっても傍観者のある意味とっても大物2人の会話。

「今日も平和…だな」
「ああ、そうですねぇ」
「……放っておいても?」
「まぁ、あの2人はストレスが溜まってるようでしたから」
「…そうでしたか」
「ええ。彼らには表の世界がありますから」
「…確かに、あの環境は疲れることでしょう」
「ええ。だからこの場を持てたことを感謝してますよ」
「貴方の言うとおりなのだろう。そして、この場を持てたことこそが平和の証なのだと…私は思う」
「時に風影どの。お茶でもいかがですか?」
「…ありがとうございます。ところでイルカどの、風の里銘菓"砂漠の雪"はいかがですか?」
「ああ、ありがとうございます。木の葉でもそちらの商品は人気なんですよ」
「定期的に仕入れてくれる貴方方の手腕あってのことです」
「いえいえ、商品が上質だからこそですよ」
「それを言われるなら、以前木の葉より持ち込まれたあれはとても見事でした」

 以下商談の話が延々と続く。



 そんなわけで、爆裂暴走全開2人組☆を止める人間は、どこにもいないわけで。
 本日絶賛破壊日和なわけで。
 クレーターは広がり、野は焼け木は焼け人は焼け。
 この世のものとは思える惨状がどこまでもどこまでも続くのである。



 散々破壊しつくして、はつらつ笑顔で向き合う2人。

「楽しいねナルト君」
「楽しいなヒナタ」
「でもね」
「うん」
「ちょっとだけつまんないの」
「うん。何?」
「だって、」
「あ、分かった」
「分かっちゃった?」
「うん。分かっちゃった。あれの事だろ?」

 ちらりと視線をとある方向へ向けてナルト。
 ちらりと視線を同じ方向へ向けてヒナタ。

「ナルト君大好き」
「うん。知ってる」

 にっこりと笑い合う。
 喜色満面はつらつとした笑顔で。
 それはそれは一部の人間にとってよろしくない笑顔で。

 その瞬間、とある2人組が、ぞわりと得体の知れぬ恐怖に慄いたりもして。
 それから変にぎこちない動きで、恐る恐る視線を動かして。

 ばっちりと、おんなじ笑顔をした同じ顔の同じ黒装束の男たちと目があった。

「いの!」
「サクラ!」
「「ファイトっっいっぱぁーーーーーーーっつ!!!!!!! しゃーーんなろーーーーっっ!!!!!!!!!」」

 ろーーーーーろーーーーろーーーぅ。
 見事な瞬発力と判断力を発揮した2人組みの山彦が消えるよりも早く、黒服の2人組みは動いていて。
 それはそれはもう瞬発力とか、判断力とか、そんな次元じゃなくて。

「遊ぼうピンク」
「遊ぼうキンキン」

 首根っこをひっ捕まえた2人の無情な言葉に、最早有名すぎる木の葉暗部、ピンクとキンキン=春野サクラと山中いのはただただ涙したのだった。
2008年8月30日
祝詞のお題が漆黒だったので、こいつら書こう! と思ったはいいものの、完全に祝詞に出せるようなものじゃなくなったのでここにさらしておきます(笑)
個人的にはどの2人組も好きなんですが、馬鹿笑い2人組がなんとも好きです。馬鹿笑いしかしてないので会話が書けないのが難点です。最強漆黒さんたちはすぐに惚気るかいじめに走るので危険です。
黒ずくめでおんなじ格好の男があの口調で話しているのはとってもシュールだと思います(笑)
風の里銘菓は人様の設定をこっそりお借りしてたり…。勝手にすみません(汗)