『賭けの始まり』









「ねぇ、賭けをしない?」

 暇をもてあましていた女が、不意に言葉を紡ぐ。
 最近退屈しどおしの3人は、すぐさまその言葉に飛びついた。 

「賭け?」
「そ。私とあんた達3人で、1人1人がこれから5年かけて最強の子供を1人作るの。その中で1番子供を強くした人が勝ち」
「5年か。結構長いな」
「けど、面倒ではないか?」
「だが、面白そうだ」

 予想通りの言葉に、女はころころと笑った。
 3人の中、銀色の髪を持つ男は、持っていた本をポーチに入れて、にやり、と笑う。

「でも、ただ強くするだけじゃないだろ?紅、何を企んでいる」
「その通り。さすがカカシね」

 女、紅は目を細めて、3人の男達を交互に眺める。

 銀色の髪とひどく整った容姿を持つ男。
 熊の様な体躯と、何もかもを面白がっているような悪戯な瞳を持つ男。
 見るからに怪しいおかっぱ頭と太い眉を持つ男。

「条件1、本人に強くなる意思があること。これは簡単」
「まぁ、そうだな」
「っつかやる気ないと無駄でしょ」
「条件2、子供はおちこぼれでなければならない」
「なんだ?その条件は」
「条件3、その力、他にばれる事を許さない」

 紅の言葉に、3人は少し考える表情になって、熊のような男が言う。

「全てを欺け、か」

 おかっぱ頭の男は、それに頷いて。

「俺達のように、ということか」
「ええ。アスマ、ガイ。でも違うわ」
「何がだ?」
「写輪眼のカカシ、疾風のガイ、豪腕のアスマ。あんた達は表でも名前が売れ過ぎているわ」
「まぁ、な」
「決して名前を売れさせてはいけない。何処までもおちこぼれで何処までも弱い子供と里に認識させる」
「なんでそこまでこだわるわけ?」
「つまらないでしょう?強いと思われている人間が強かったって何の意外性もないわ」
「わがままだな」
「ええ。そうよ。だから、里に弱者と蔑まれ、疎まれている人間を強くするのよ」

 そのほうがずっと面白いでしょう?
 そう笑う紅に、他3人も笑う。
 その方が面白い、というのは同感だ。

「それで、賭けの賞品はなんだ?何かあるんだろ?」
「ふふん。そうねぇ…、"私"でどうかしら?」

 ほんの少しの余白を置いて、男共が一も二もなく頷いたのは言うまでもない。



 さぁ作りましょう。
 最高の子供たちを。



 ―――紅は問う。

「もっと、強くなりたい?」


 ―――カカシは問う。

「強くなりたいか?」


 ―――アスマは問う。

「強くなるか?」


 ―――ガイは問う。

「強くなる気はあるか?」



 問いかけに応えた4人の子供。

 さぁ、賭けの始まりだ。
2005年7月3日
一度やりたかった教師陣のスレ。
4人の子供は想像がつくと思います。
一応紅総受けなのかもしれない。
でもまぁどうなるんでしょう?(笑)