ノマナルスレヒナ
スレサススレテマ
スレサスヒナが幼馴染
すぅ、と、真白な鋭い瞳が火影を貫く。
手にもつは、たった今渡したばかりの任務書。
「…この任務、つい先ほど下忍第7班が受けた筈ですが?」
「…その通りじゃ」
つい、と視線を逸らす火影。
無言で説明を求める真白い瞳。
やがて、重々しく火影の口が開く。
「この任務。メiかぜ)が出てくる可能性がある」
「―――っっ。それは、どういう…」
「詳しくはこれを見れば分かるじゃろう」
そう手渡される書類の束。
過去の報告書だ。
「何がどう動くかは分からんのじゃ。だが、モェ動いた場合、あやつらだけじゃ止められん」
だから、頼む、と火影は頭を下げた。
ひっそりと声が落ちる。
もうこの国に入ってから何度も聞いた声。
「小雪、まだ意地を張るのか?」
「テマリ…」
「あんたを攻めたいわけじゃない。あいつらはあんたを勝手に守って死んだんだ。その生き方をあいつらは選んだ」
「うるさい! 何か文句があるならあんたがあいつらを守れば良かったんじゃない! あの時だってどこかで見てたんでしょう!」
「私は、あんたを守る事しか契約していない忍。あんたがそれを望むなら契約なら結ぼう」
「…っっ!!!! 誰がっ!」
「あんたがこのままなら、別に構わないさ。私はあんたを守る忍。それがあの人と交わした契約」
だから、他の人間まで助ける義務はない。
それが忍。
感情など任務の2の次でしかない。
もっとも、それは全てではなく、例外もテマリは知っているから。
「私はね、あんたが生きていて良かったと思うよ」
「何を…」
「あんたをカカシに預けて、その後は私も動けなかったからね。あんたの消息をずっと追っていた。女優として活動を始めたのを知って、すごく嬉しかったよ」
「………」
「…さて、小雪。今回私は任務としてここにいるわけじゃない。あの人との契約のためにいるんだ。多少の我が侭は許してもらうよ」
にぃ、と笑ったテマリはそうして姿を消した。この脱出不可能な筈の堅牢な場所からどうして出入りできるのか、雪絵には分からない。
「………小雪なんて、いないわ…」
後には雪絵の小さな声が空しく響いた。
「久しぶり…。姉さん」
「…あんたか」
「そういうことです」
ヒナタは、すぅ、と、刀を前に差し出し、もう片腕はチャクラの糸をいくつも作り出す。目に、身体に、力を入れて、全身を目の前に集中する。
全身に汗が流れる。
目の前に立つ、姉とも慕う少女の実力はよく知っている。
穏やかだった新緑の瞳を、テマリは一度閉じた。
「…いいだろう。月影の幻華、日向ヒナタよ」
ぴり、と殺気がほとばしった。
金茶の髪が、白銀の世界にまぶしいほどに輝き、風に乗った。
ゆっくりと開いた瞳は、凍りついた刃。
凍てついた新緑の輝き、鋼鉄なエメラルドグリーン。
雪よりも白い、白磁の頬。血の通っていないような、蒼白色。
薄い唇だけが、血を塗りたくったかのように赤く…。
テマリは2振りの小振りの刀を水平に構えた。
「砂のメiかぜ)、相手をしよう」
きぃぃーーー…ん。
刃と刃の擦れあう、嫌な音が響き渡ったのは、直後であった。
(…この気配…テマリ、それに………ヒナタ!?)
遠くでぶつかり合うチャクラを判別して、サスケはその整った柳眉を思いっきり寄せた。
何故、彼女らが遣り合っている?
何よりも何故ヒナタがここに居るのだ。
テマリがやられるわけがないが、ヒナタを傷つけるわけにもいかない。
あの幼馴染が傷つくのは見たくないし、何よりも自分達の宝物、あの澄んだ蒼い目が傷つくのは見たくない。
では、どうする?
答えはすぐに出た。
そのためにも…。
「サクラ、まだかっ…?」
「もうちょい…」
あと少しでこの戦闘は蹴りがつく。
この任務は、カカシとナルト、そしてサクラに確かな戦闘経験を積ませてくれた。
雪の国が絡んでいることから、テマリの存在が絡む事は予想内であったが、ヒナタの存在は計算外。
だが、テマリとヒナタがぶつかる事で裏の存在は裏だけで終われる。それならいいだろう。
あとは無事にこの任務を終了させるまでのこと。
(テマリ、ヒナタ、あんまり無理するなよ…!!)
焦りは胸の奥底にしまいこんで、サスケは下忍の速度で走り続けた。
「わかった! 5秒後に左20度30メートル! その枝のところよ!」
そのサクラの声を合図に、戦闘は始まった。
場面場面で浮かんだところを。
なんかテマリの年齢をいじらないととんでもないことになるかもしれない気がする。ちゃんと確認してないので分かりませんが(汗)
お父ちゃんとテマリがなんか契約してる話。お父ちゃんをテマリは守れず、小雪を守るけどその時の怪我で動けずカカシに託す。
カカシ、ナルト、サクラは原作どおり。
テマリvsヒナタものって結構好きっぽい。