『4行』







 柄にも無く、少しだけ緊張して、シカマルはその封を切った。
 あまりに素っ気無く、シンプルな茶封筒。
 これで、何を期待しているの言うのか。
 それでもシカマルは、どこか硬い表情で、茶封筒を開く。
 中に入った丁寧に三つ折された2枚の紙を開くと、几帳面な、男のように骨格のしっかりした硬い文字が目に入った。

 その行、わずか4行。
 しかも2行は宛名と差出人名ときたもんだ。
 思わず取り落としてしまっても仕方なかろう。

 けれど、けれど―――…だ。
 らしいかもな、と思って、苦笑した。

「10月8日の11時…ね」

 いきなりの呼び出しだが、その日に任務は入っていない。
 何の都合もはいってはいない。
 まるで分かっていてやったのではないか?と、思えるほどにぽっかりと予定の開いている日だ。

 まさか、とある人物がシカマルのここ1ヶ月の予定を、テマリに流していたとは思いもよらない。
 何となく、たった4行の手紙を透かし見て、まじまじと観察する。
 本当に、たった4行。

 かっちりとした筆跡は彼女の性格をそのまま表しているようで………好ましい。


 ―――いやちょっと待て…。好ましいって何だ…!?


 自分の思考に思わず突っ込みを入れながら、シカマルは慌てて手紙を放り出した

 投げ出された手紙を、ちらりと見て………誰もいるはずがないのだが、なんとなく左右を確認して、拾って丁寧にたたんだ。