『ほっぺたの誘惑』
「ナルト」
「ん?」
「好きって言って」
「スキ」
「じゃあ愛してる」
「アイシテル」
「………」
つまらない。
つまらない。
つまらない。
照れもなければ焦りもない。
つまらない男ね。うずまきナルト。
「ねぇヒナタ」
「何」
「その遊び、他の人にもした?」
「するわけないじゃない」
したところで何も楽しくない。
変な勘違いされても困るし。
「なら、いい」
「は?」
何がいいのかよくわからない。
うずまきナルトの鉄面皮は変わらない。
まったくもってつまらない男ね。
でもその鉄面皮は柔らかいのを知ってる。
なんだか鋼鉄で出来てそうなのに、つついたらお餅みたいに柔らかくて、食べたくなっちゃう。
いすに座って本を読んでるうずまきナルトに後ろから抱きつく。
頬に自分の頬を引っ付けると、ぴったり引っ付いて離れない。それがなんだか気持ちよくてやっぱり食べたくなっちゃう。
「ヒナタ」
「何?」
「これ襲っていいっていう合図?」
「んー」
そうなのかな。どうだろう。
くすくす笑ったら、くすぐったいみたいで、ナルトの首筋に鳥肌がいっせいにたった。
考えるより先にぱくりと噛み付く。
歯は立てないで、すってみる。
鳥肌がもっとひどくなって、なめたら少ししょっぱかった。
べし、と本で頭を叩かれる。
痛い。
「痛いんだけど」
「ヒナタが悪い」
「えー」
ほっぺたをつねられた。
痛い。
本がどくと、蒼い蒼い瞳が目の前で、ふわふわちくちくの髪の毛があたった。
いつの間にかうずまきナルトの手のひらで頭を固定されている。
ん。
息が近いのはドキドキする。
他のヤツの息は気持ち悪いけど、うずまきナルトのそれは嫌いじゃない。
蒼い瞳は無感動なビー玉。でもそれが好きで。
いつもじっと見入っていたら唇を奪われる。
そのちょっと荒れた唇の感触とか。
ざらざらした舌の感触とか。
結構好き。
でも降参するまで解放してくれないところはちょっと嫌いだ。
「ん…」
口の中の戦争はいつもヒナタの負け。
うずまきナルトの背中をどんどん叩く。
それがいつもの合図で。
「ナルト、まだ昼だよ」
「スイッチ入れたのはそっち」
別にそういうつもりじゃなかったんだけど、じゃあどういうつもりだったのかと言われると答えはないから反論はしない。
日向ヒナタは言いたいことを言うだけ。したいことをするだけ。
まぁどうせ昼は中忍の任務はお休みで、予定も何もないわけで。
少し乱暴にベッドに転がされるのを、まぁいいかと他人事みたいに受け止めた。
2011年11月19日
なんだか二次創作で甘甘のやつを読んでたら、急にスレナルヒナをイチャイチャさせてやりたくなりました(笑)
甘すぎて自分でびっくりするわ!って感じです。
ナルトverもあるので甘党な方はどうぞvv