『プレゼント』
〜イルカ〜
「カンクロウ」
酒宴の輪の中からイルカが抜け出してカンクロウに声をかける。
カンクロウはそれを見て自分も輪の中から抜け出した。
主役が抜けることで何か文句の一つでも出るかと思いきや、驚くほどすんなりと全員がカンクロウを開放した。
「何じゃん?イルせん」
「カンクロウ…テンテン用語が移ってるな」
脱力したようなイルカの言葉に、カンクロウは己が何と言ったか考え、そして自身も脱力した。
テンテンのだれかれ構わず変な呼び名を付ける癖は、気が付けば回りも巻き込む。
「…イルカ先生。それで、何か?」
「ほら」
と、差し出されたのは一冊の本。
古ぼけたそれを、普通に受け取って、その表紙を確認した瞬間に目を見開いた。
「これ…!!!」
「そう。木の葉の禁術書だ」
「な…!!」
「さすがに貸すことは出来ないがちょっと見せるくらいならな」
そう言って平然と笑う男を、カンクロウは唖然と見上げる事しか出来ない。
このたった一冊の禁術書のために、どれだけの忍が血まなこになって這いずり回っているのか分かっているのだろうか?
「い、いやさすがにそれはやばいじゃんよ…!!」
「大丈夫だって。お前、まだ強くなりたいんだろう?」
「……!」
「なら、チャンスを逃すな。与えられた知識を貪欲に学べ」
「………。分かったじゃん…」
おずおずと禁術書を開くカンクロウを、イルカは目を細めて見守る。
その力こそ、これからのカンクロウに役に立ってくれるだろう。
それこそが、イルカからカンクロウへのプレゼントだ。
「誕生日、おめでとうな」
既に本に集中しているカンクロウを暖かく見守りながら、
小さく小さく呟いた。
2005年5月22日
イルカ先生からカンクロウへのプレゼント
→木の葉の禁術書の記憶
この全く接点なしの2人どんな関係なんですか?
って感じですが(笑)
まぁ仲良しだってことでuu