『来訪者』











「カンクロウ誕生日オメデトー!!!!!!!!!!!」

 クラッカーが連発されて、敵の本拠地に乗り込んだはずのカンクロウの身体は、あっという間に紙ふぶきにまみれた。











 ぽかん、として、カンクロウは状況の理解を努める。
 そもそもここは砂に流れてきた犯罪組織の本拠地で、そのメンバーの詳細を探る事が今回の任務だった筈だ。

 ―――が。

 そこにあるどの顔もどの顔もカンクロウにとって馴染みの深いものばかりで、挙句の果てには他の任務に就いているはずの姉と、任務を言い渡した張本人である風影の姿まである。

「…任務…は…?」

 呆然としたカンクロウの言葉に、そこに居る誰もが笑う。
 この顔が見れただけでもわざわざ砂まで襲撃に来たかいがあったというものだ。

「ま。言うなればこれが任務だ」

 と、爽やかな笑顔で言うのは木の葉の万年中忍教師のイルカ。
 その笑顔は、いつも見せるそれとは違って、どことなく有無を言わせない笑み。

「んー。火影様と風影様の許可もちゃーんとあるのよ」

 と、眠たげな瞳で、ほれ、とカンクロウの前に任務書をカカシはかざす。
 確かにその任務書は火影の印も風影の印もしっかりと押されていた。
 カンクロウが風影に見せられたものとは、勿論違うが。

「大体カンクロウも水臭いってば。誕生日くらい俺達に教えろよ」
「だな。テマリに聞かなきゃ間に合わなかったぞ」

 ナルトに便乗してシカマルも頷く。
 ちょうど誕生日の話になった際、テマリが本当にさり気なくさり気なくカンクロウの誕生日の事を漏らさなければ終わりだった。
 何しろそれはちょうど5日前だったのだから。

 火影に休暇を取り付けて、任務書にサインを押させて砂の国に駆けつけ、我愛羅にも同じようにサインを押させた。
 何かと渋っていた我愛羅だが、水晶による3代目と5代目の説得によって許可をだした。

「全くだ…」

 と、ぼそりと呟くのはシノ。
 いつもどおりの抑揚のない声に、どことなく不満そうな響きが伴う。
 彼とて砂の友人を好ましく思っているのだ。

「本当だよねー。テマリさんもほとんど忘れてたみたいだしー」

 苦笑気味に呟くチョウジ。
 そもそも誕生日とは何かという勢いであった。

「砂ってホント自分の事に無関心よね」

 とヒナタ。
 そう言う自分も全く無関心な顔をしていながら、肩をすくめる。

「本当よ!!!大体ねー恋人の私にそんな超重要イベントを教えないなんてどういうこと!?」

 不満そうに唇を尖らせて憤慨しているテンテン。
 目が本気で怒っている。

「…そんなに重要なことか?」

 全く分からない、という風に呟くテマリ。

「重要らしい…」

 我愛羅はとりあえず頷く。
 誕生日の重要性については、現火影、前火影、共々に説得され、ごり押しに近い状況で任務書に印を押したのだ。
 実際は現在の忍の真剣な人手不足、それに忍全体の戦闘力の低下の中で、テマリ、カンクロウという、里で最強の力を持つ彼らを失うのは非情に痛かったのだが。

 しかし、2人とも不思議そうに首を傾げる辺り、自分の生まれた日なんてものに全く関心がないのだろう。
 誕生日を祝う、という習慣自体砂にはないのだからそれも仕方あるまいし、彼らにとって生れ落ちた日というものは必ずしもめでたいものではないのだ。
 それは木の葉の忍一同全員が分かっている事ではあるが、それでも自分達はカンクロウを祝いたかったのだ。
 カンクロウという1人の人間がこの世に生を受けた事を。

「ね。カンクロウ。今日はお休みだよ。一緒に楽しもう?」
「…テンテン」

 ふわりと笑う少女にカンクロウは困ったかのように顔を歪ませる。

「ね。いいでしょう?」

 いつものように強気でこられれば思いっきり突っぱねる事も出来るのだが、珍しくも戸惑うように小動物を思わせる上目遣いで見られれば、カンクロウは言葉の選択に詰まる。
 そこにいる者達は、それを承諾、と見なした。


「と!言うわけでカンクロウにかんぱーい!!!!!!!!!!」




「「「「「「「かんぱーいっっ!!!!!!!!!」」」」」」」
2005年5月22日
ものっすごい殴り書き。
一応全員スレ。
カンテン(笑)
いいねぇ。