『 ヒナタへ

  やっほーヒナタ。久しぶり!元気にしてるか!?
  オレってばすっげー元気だってばよ!
  でさ、でさ、いきなりの手紙でびっくりしたってば?

  あ、この手紙なんだけど、エロ仙人の口寄せしたヤツが届けてくれるってば!
  なんかさ、いきなりこんな手紙送ってゴメン。
  ヒナタと話したことなんてほとんどねーのにな。
  なんかさ、エロ仙人に手紙でも書くか?って聞かれて、思いついたのがヒナタだったんだってば。
  何でだろうな。

  サクラちゃんとかキバとかシカマルとか、チョウジとかいのとかシノとか、皆元気?
  病気なんかしてねーとは思うけどさ。
  あーーーなんか久しぶりに会いたいってばよ!!
  イルカ先生にもよろしく言ってて!帰ってきたらラーメン奢って欲しいってば!って。
  あとあと、綱手のばあちゃんも元気!?
  ばあちゃんってばあちこちで変な伝説残してるみたいで面白いってば!

  そんで、オレは岩の国にいるってば。
  名前のとーりの岩ばっかでつまんねーけど、結構木の葉と違って面白い。
  やっぱ国が違うと何もかも違うんだってば!言葉も変になまっててよく聞き取れなかったりするし!
  いつかヒナタにも見せたいってば!
  でさ、なんか岩の国の海の近くで特産品とかいう、すっげー綺麗な真っ白な石があるんだってば!
  その石がすっげーヒナタに見せたくて、だから一緒に送るってば!
  これってばヒナタの目みたいだろ?
  真っ白で、けどすっげー深くて、綺麗で雪みたいだってば。

  あ、そうそう。
  オレってばこれが手紙書くの初めてなんだってばよ。
  何書いていーのかわかんねーって、エロ仙人に言ったら、書きたいこと書けばいいだろ!
  って言われたってば。
  だからそれがわかんねーっての!!
  って思ってたんだけど、結構書いてるよな。

  あのさ。あのさ。
  書いてて、何でヒナタに書こうって思ったのか分かった気がするってば。
  オレってばヒナタとあんまり話したことないよな。
  でもさ、もっと話してみたかったんだってば。
  ヒナタってばキバとかシノとかとは結構話してるのに、オレ見ると逃げるんだもんな。
  なんか悔しいってば。
  オレもヒナタともっと話したいし、ヒナタの笑った顔が見たいってば。
  手紙だったらヒナタが思ってること聞けるし、一杯話せるもんな。
  それにヒナタは他のヤツらと違って、返事くれそうだし。
  あ、別にくれって言ってるわけじゃないってばよ?

  木の葉に帰ったら、ヒナタともっと一杯話したいってば。
  でもとりあえずは手紙で我慢だってば。

  それじゃヒナタ、またな!  


  うずまきナルト  』





「…ナルト、ワシはお前に手紙を書くよーに言った筈じゃのォ」
「だから書いたってば」
「………これは、どっちかっつーと恋文じゃのォ」
「は?何それ」
「ま、送っとく…のォ」

 口寄せして、ナルトの書いた手紙と、本人曰く『すっげー綺麗な真っ白な石』を小さな袋に入れて持たせる。あっという間にその姿が遠ざかるのを2人して見送ったのだった。
 この後、遠い手紙の先にいる相手が、顔を真っ赤に紅潮させて放心してしまうのも知らずに。
2006年10月8日
ナチュラルに口説いているナルトを目指して。
『すっげー綺麗な真っ白な石』は真珠。