神の森の占い師 後編




 城に連れて行かれた占い師は、休む間もなく王の前へと引っ張り出されました。
 兵士達に連行されながら占い師は嘆きます。

「ああ、ひどい。」

 ずっと縛られたまま馬に乗せられてきた占い師はもうふらふらです。
 その頬にはたくさんの涙のあとがありました。

 彼女が連れて行かれたのは謁見の間と呼ばれる大広間。
 奥の1段高い場所には玉座があり、そこに王と思われる貧相な中年男が座っていました。
 玉座から少し離れた場所に机が用意され、占い師はその前に座らされました。
 椅子の後ろに騎士が立って彼女の首に剣を突きつけます。

 そうしてやっと、手の縄をほどいてもらえました。
 手が自由に使えないと占いができないからです。

「適当な占いなどするなよ。お前の占いが外れようものなら、考えうる限りの残酷な方法で殺してやる」

 騎士にそう脅されて、占い師はのろのろとカードを手にとりました。
 震える手でテーブルにカードを広げ、混ぜ始めます。

 ………と、カードを切るその指がぽろりと落ちました。

 王と騎士は何が起きたのか理解できずにきょとんとしています。
 占い師が指がなくなった手を良く見えるように顔の高さに上げて、ようやく何が起こったのか理解したようです。

「ひ、ひいいいいぃぃ!!!!」

 人の体が目の前でもげるという事実に、見るからに気の弱い王は情けない悲鳴をあげました。

「ああ、体が崩れていく…」

 止める間もなく、手から先がさらさらと砂になっていきます。
 持っていたカードがばらりと床に散らばりました。
 剣を突きつけていた騎士はぎょっとして身を引きます。
 王も、再び情けない悲鳴をあげて玉座からずり落ちました。完全に腰が抜けています。

 王と騎士がそうしている間にも占い師の体はどんどんと崩れていきます。
 腕が根元からぼとりと床に落ち、砂になってしまうと、占い師はゆっくりと立ち上がって王と騎士を睨みました。

「うらみますよ………」

 そう言った瞬間、自重に耐えられなくなったかのように彼女の体は足から崩れて床に倒れました。
 しばらく残っていた服も、急速に時がたったかのように風化していきます。

 あとには砂と、占い師が持っていたカードだけが残りました。





 神森にある小さな小屋の、ベッドの上で占い師はパチリと目を開けました。
 起き上がらずに体に血がめぐるのを待ちます。
 しばらく体から精神が離れ、仮死状態になっていたので体がこわばってしまっていました。
↑死後硬直(笑)
「それにしても、あの時のあの人たちの顔ったら♪」

 おもしろかったわー、と占い師はくすくすと笑いました。
 実は、騎士にお城に連れて行かれたのは彼女が作った泥人形。
 本当の占い師はずっとベッドに横たわり、精神だけをとばして人形を操っていたのです。

 急ごしらえの泥人形は時間がたつと乾いて崩れてしまうのを利用して、一芝居うったのでした。

「これでしばらくは静かになるわね♪」

 あの場にはたくさんの人間がいたので、占い師が砂になって崩れてしまった話はすぐに広まるでしょう。
 死んでしまったことになれば、今回のような馬鹿らしい占いを強要する輩もいなくなります。

 そうそう、たとえ人形とはいえ酷いあつかいをしてくれた騎士たちには仕返しをしなければ。

 これからやることを思い描き、占い師は満足げに笑うのでした。





2005.3.27






 占い師っていうより魔女だろう………!( ̄▽ ̄;)
童話のはずだったのですが、なんだか「本当は恐ろしい○○童話」みたいになってしまった(笑)しかも内容がない…。
読みやすく、読みやすくと心がけて書いたのですがどうでしょうか。
なんだか異常にそっけない文になってしまったような。反省。

 さぁ、ここまで読んでくださったあなた!!お疲れ様です。
前編に戻って反転してみましょう★
占い師の黒い腹の中が窺えます(笑)